(Modified from the original document written by Madeline Uraneck and Paul Sandrock.)
日本語講座の廃止を防ぐ最善の方法は、なんと言っても質の高い授業を続けていくことです。受講生が減少する兆候が出てくる前から、早め早めに事前の対策をとっていきましょう。より良い日本語講座を構築していくために、ぜひ以下のチェックリストを参考にしてみて下さい。
あなたは自分の日本語プログラムの普及の為に、日頃から様々なアドボカシー活動をされておられることでしょう。しかし、たとえ自分なりにどんなに一生懸命に努力をしたとしても、学校の予算や政策の影響など、皆さんがどうにもできない事情も色々と出てくるものです。そんな時にはどうぞ自分を責めないでください。
既にプログラムの廃止・縮小の案があがっている段階でその対策を講じはじめる、というのは色々と難しいことと思いますが、なるべく前向きにポジティブな気持ちで、できることから取り組んでいきましょう。噂話に翻弄されたり、誰かに敵対心を持ったりせず、落ち着いて行動し、悪い方に考えるような事のないように心がけましょう。自分を責めたり誰かのせいにしたりしないこと。誰のせいでも無いのです。
もしも議論がヒートアップして状況が悪化した場合には、保護者や生徒とのやり取りには注意が必要です。自分が次にどうすべきか、言動に移す前に、信頼できる第三者の意見を聞いてみましょう。単にあなた自身の職や講座を守るために助けを求めるのではなく、「生徒自身にとって何が最善か?」という生徒側の視点に立ってステークホルダーに説明してもらえるようなアドボカシー協力をお願いしましょう。
学校区がどのような手順で決定を下すのかプロセスを把握しておくことが大切です。まずは決定権を持つ運営事務局側のキーパーソンと面談を持ち、どのように保護者・生徒・教師達の意見を彼らに共有できるのか、どのタイミングで意思決定のための参考情報を提供できるのか等、詳細を確認しておきましょう。
そういった事務局側との面談の場では、相手側(学校区)が挙げている懸念点や問題点についてディスカッションをすると良いでしょう。例えば、予算難、受講者の減少、学校区内に外国語プログラムを設けることのメリット等。とにかくまずは相手側の意見に耳を傾けてください。
以下の点も参考にして頂きながら、日本語プログラム(外国語教育)の重要性を運営事務局の責任者に伝えましょう。これまでに学校区としてどれだけの予算を日本語プログラムへ注ぎ込んで頂いたかを説明しましょう。
運営事務局に対して、今後あなたが日本語プログラムの関係者(保護者、生徒、コミュニティーのサポーター等)に意見を求める予定である事や、プログラムが廃止にならぬように彼らと連携して取り組んでいく予定であることを、事前にはっきりと伝えておきましょう。後々、日本語プログラムの関係者(保護者や生徒等)が運営事務局にいきなり働きかけて、驚かせることのないように注意しましょう。
手遅れにならぬよう、早め早めにどういった対策をとるか、活動計画を立てましょう。"Action Plan Handout"を参考にしてみてください。
そのアドボカシー活動のプロセスにおいて、自分の精神状態を健全に保つことを忘れないようにしましょう。友達や家族と楽しく過ごしたり、リラックスしたり、リフレッシュしたりする機会を忘れずに作りましょう。
時にアドボカシー活動はリスクも伴いますので、怖気づいてしまうこともあるかと思います。勇気が必要な状況では、例えば南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領や、マララ・ユスフザイさんをイメージしてみてください。あなたはこの挑戦に立ち向かうだけの価値のある人ですし、この挑戦はあなたの時間や体力を捧げるだけの価値のあるものです。
前を向き、胸を張ってください。あなたは自分のために講座を継続させようとしているのではなく、生徒達の国際人としての将来のため、将来この講座を受講する子供達のために頑張っているのです。
アドボカシー活動の第一歩は、とにかく早い段階から生徒の保護者とコミュニケーションをとることです。メーリングリストやニュースレターを作り、子供達が外国語を学ぶことのメリットを理解してもらうように常に心がけましょう。生徒達の学習の進捗や、今後、日本語クラスで企画しているイベント等についても前もってシェアーしておきましょう。また、同じ情報をあなたの直属の上司にも伝え、常時、状況を把握しておいてもらいましょう。
たとえ危機的状況が悪くなっていたとしても、保護者との連絡時には、決して感情的にならず、客観的に事実のみ(重要な日時や場所等)を伝えましょう。日本語プログラムの存続に向けてどういったアドボカシー活動に関与していくかは、それぞれ保護者の方々の判断に任せましょう。
生徒達に対しても同じように、常に日本語に関する有益な情報(International job fairs, Foreign Language Week, International Education Week等)を共有して、関心があれば積極的に参加できるようにしてあげましょう。こうした催し物への参加は、生徒達にとっても日頃の学習成果を発揮できる貴重な機会となりますし、日本語プログラムの良い広報の機会にもなります。
学校区の方針や前例を調べましょう。学校区によっては、教師が直接保護者に働きかけることを禁じている場合もあります。
他言語の教師にも相談しましょう。外国語プログラムが廃止になることのメリット・デメリットを率直に議論しましょう。彼らの意見に耳を傾け、彼らの支援も得られるように努めましょう。また、小学校や中学校等、他の学校の教師にも相談しながら、プログラムの存続に向けて連携しましょう。
あなたの学校区(NADSFL)や州(NCSSFL)にはおそらく外国語教育の責任者がいるはずですので、相談をしてみましょう。日本語講座の存続に向けて、教育委員会や運営事務局に対してグローバル人材育成の大切さについて説明をしてくれるでしょう。
例えば:
あなたが所属する教員組合の代表者に、日本語プログラムの状況についてアップデートしましょう。組合が具体的な支援をするかしないかに関わらず、現在の日本語プログラムの状況を知らせておくことで、組合側で何か別の案件が動いている場合に、2つが関連している可能性もあります。
以下のような方々にスピーカーとしての協力をお願いしたり、サポートレターを読んでもらったりしてみましょう。
非難をするのではなく、建設的な態度でポジティブに話しましょう。
外国語を学ぶことによる生徒自身のメリット、コミュニティーにもたらすメリット、学校区の評判という観点からのメリット等にフォーカスしながら話しましょう。Useful Resources Pageを参考にしてみてください。
プログラム廃止の正式な決定が下りるまでの時間が稼げるよう、例えば生徒達や親達にアンケートを取ることなどを提案してみましょう。例えばChange.orgなどのウェブサイトを使って生徒自身がペティションを始めるのも一案です。
地元の新聞社やニュースサイトの記者、編集者に面会し、違った方法で現状を記事にすることも検討しましょう。
自分で原稿を起案しなければならない可能性もありますが、まずはメディアに話をして、掲載されるように働きかけてみましょう。
あなたが教育委員会に出席して発言をする際には、メディアにも出席してもらい、何が危機的状況にあるのかを明確に伝えてもらいましょう。地元の新聞社に日本語クラスの取材に来てもらうのも良いでしょう。新聞が時間を割いて取材に来てくれれば、記事を掲載してくれたり、続報を報道してくれたりする可能性が高くなります。
メディアとは新聞だけではありません。
学校の父兄会の回報や、教員組合の回報、教育団体のメーリングリストなどを活用する事も考えましょう。ターゲットを絞って支援を訴える方が、不特定の一般の人々に訴えるよりも効果的です。
たとえ日本語プログラムの閉鎖を決定したとしても、その後、様々な関係者や団体から反対意見を耳にし始めた場合、考えを変える事もあります。プログラム廃止が避けられないよう見える状況でも、全てのリソース(保護者、教育団体、アドミニストレーター、メディアなど)を最後の最後まで模索し、どういったアクションを起こせるか、諦めずに検討しましょう。
廃止になるプログラムのことばかり考えて、不満を募らせていると、新しいチャンスを逃してしまう事になります。自分のプログラムが消えていく状況であっても、常に自信をもって前向きになりましょう。あなたを支援してくれた人々は皆、あなたをサポートし続けてくれて、新しいチャンスに導いてくれるでしょう。あなたが生徒のために強く信じて続けてきたアドボカシーは何事にも代えがたい成果なのです。